レ・フォール・ド・ラトゥール [1975]750ml インショップ

経過年による僅かな汚れ、破れがあるものもあります。

以前に比べ、ボルドーのセカンドワインが一般的に認知されてきたようだ。ファーストが高くて手が出ない物などは、手頃な物として人気を博してきたが、どうもセカンドですら高価になりつつあるようだ。その中で一番の高評価はやはりレ・フォール・ド・ラトゥールだろう。当たり年、良作年はセカンドワインでありながらパーカーポイント90点を超える物もしばしば現れ、グラン・クリュ格付け並みの評価・味わい・価格なんてこともよく言われている。これはタンニンレヴェルの高さで知られる1975年のレ・フォール・ド・ラトゥール。さて、どんな姿を見せてくれるのだろう。　13前後で抜栓・デキャンタージュし2時間くらい置く。リコルクはされていないが、まだ弾力のある良い状態だ。深く沈み込んだ濃く暗いガーネット色、菫、薔薇、ハイビスカス、沈丁花、カシス、プラム、ブラックチェリー、ブラックベリー、赤身肉、干し肉、レザー、鞣革、黒胡椒、胡桃、丁子、杜松の実、甘草、ミント、ユーカリ、オレガノ、タイム、ローズマリー、西洋杉、鉛筆、インク、シガー、トリュフ、陳年プーアル茶、腐葉土、森の下草、湿った土、濡れ落ち葉、黒い土、ミネラル、土の力をそのまま表現するような暗く沈んだ色合いを持ち、鮮やかな花と凝縮されたフルーツのノートが力強く、でも静かに広がりだした。先ず驚いたのは、その濃度とパワー、タンニンレヴェルの高さだ。正直言って、34年経っているし、凄いと言ってもやはりセカンドワイン、もう充分にこなれ、下手をすると落ちてきているのではと少し心配していたのだが、全くの杞憂に終わった。それどころか実に若く剛直な輪郭と引き締まった体躯を持ち、そのスケール感には圧倒されてしまった。それぞれのグラスに分けたワインをリーデル・ソムリエ・ボルドー・グラン・クリュに集め、時間を掛けながら変化を見た。時間と共に、色々な香りが少しずつ、ポコッ、フワーとあちらこちらから立ち始めた。先ず花とフルーツ、黒をイメージするほど凝縮され濃い。次にどっしりとしたコク・ボディを感じる肉・革系のニュアンス。赤身肉、干し肉、レザー、鞣革と云うように若さと熟成が混ざり合い複雑さと深みを見せている。それは他のニュアンスでも色々な物が混ざり合い同様の状態を醸成している。そして、薫り高いナッツ、少しローストがかっているような気もするが、何だか分からなかったが、頭の中で香りを反芻しやっと胡桃だと判明した。様々なハーブ（黒胡椒、丁子、杜松の実、甘草、ミント、ユーカリ、オレガノ、タイム、ローズマリー、西洋杉）と土・ミネラル系のニュアンス（鉛筆、インク、シガー、トリュフ、陳年プーアル茶、腐葉土、森の下草、湿った土、濡れ落ち葉、黒い土、ミネラル）が次々に顕れては消え、やがて、混ざり合い、溶け合いながら、薫り高くエレガントになっていく。欲を言えば、柔らかく滑らかな口当たりとトリュフジュースのような味わいになって欲しいのだが、まだ熟成が必要らしい。1975、高いタンニン・酸レヴェルが特徴的な年だが、それに見事なまでに当てはまるようだ。これをブラインドでシャトー・ラトゥールと云って出してもほとんど分からないだろうし、去年飲んだ、シャトー・ピション・ラランドと同等かそれ以上と思われるポテンシャルは充分に持っているようだ。流石、レ・フォール・ド・ラトゥール。飲まれるときは3〜4時間前に抜栓・デキャンタージュし、温度を上げ、充分に空気を吸わせ、大きめのグラスにたっぷりと注ぎ、時間を掛けてじっくりと飲んであげてください。その濃度、凝縮感、強靱さ、複雑さ、深み、香り高さに圧倒されることでしょう。そして思われるでしょう。これ、ホントにセカンド？2009．2．21

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